社葬と一言でいっても、大きく分けると「社葬」「合同葬」「お別れ会」の3つの形式があります。核となる部分はみな同じですが、それぞれの形式ごとに特徴がありますので、ここではその違いについてご説明いたします。
故人が亡くなった直後、遺族主体による密葬(遺族主催の個人葬)を先に行ない、数週間ののち(四九日の法要を行なう前まで)に、企業側主体による本葬(企業主催の社葬)を行なう形式です。
社葬は、宗教儀礼を尊重し故人を送り出す儀礼として、故人の宗旨宗派に基づいた式典を行なうという面では、一般的な葬儀に最も近い形式とも言えます。すでに密葬で宗教儀礼としての式典を済ませているから、という着眼点から最近では本葬では宗教儀礼的な部分よりも、社会的なプレゼンテーションとしての意味合いの強い、告別式に重点を置く社葬も増えています。
(例)企業に対する故人の功績を世間に知らせる、故人になり代わり企業として、生前お世話になった方々や組織への謝意を表する、トップ逝去後の企業の新しい体制のプレゼンテーション、など様々です。
個人葬と社葬のそれぞれの費用については、それぞれの主催者が負担するのが一般的ですが、個人葬としての費用を企業側がある程度負担する傾向も最近は増えています。
企業が主催する社葬のほとんどは、かつては大企業が執り行なうものという感覚でしたが、最近では社会的なプレゼンテーションという意味から、中小企業も可能であれば社葬を積極的に執り行なうべきとも言えます。とはいえ、多くの中小企業の社葬は、比較的経済的である「合同葬」として執り行なうことが多いのも事実です。
企業と遺族が合同で葬儀を行なう形式です。合同葬の場合、密葬と本葬を一度に行ないますので、一般的な葬儀のような日程で、死後、日を置かずに執り行ないます。また、社葬のように二回に分けず一回にまとまっているため、遺族や企業側の負担が軽減されることなどが理由となって、大企業はもちろん中小企業にも特に選ばれている形式です。社葬と同様、故人の宗旨宗派に基づいた式典を行ないます。
葬費用については、企業と遺族の話し合いによってケースバイケースで決定されます。例えば「合同葬」と表現する場合でも、あらかじめ「社葬規程」で定めておけば、企業側がすべての費用を負担することも可能です。ただし、この場合でも火葬料と寺院へ のお布施(戒名・法名料など)は遺族の負担となります。
「お別れ会」は上記の社葬や合同葬から、宗教色を取り除いたもので、「偲ぶ会」と呼ばれることもあります。社葬同様に、故人が亡くなった直後に遺族主催による密葬を先駆けて行ない、後日お別れ会を行なうという流れです。会場にはホテルなどが選ばれることが比較的多いです。
注意する点としては、ホテルで行なう場合、遺骨の持ち込みや焼香、読経などが許されないことが非常に多いため、儀礼的な式典をご希望の場合は大型寺院やホールをご利用になるようお勧めいたします。無宗教形式で行なう場合、葬儀に際して参列者・主催者ともに喪服を避け平服を着用します。